白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

「え? いつ俺がそんなこと言ったの? 俺は最初から枝乃が好きだけど? 一目ぼれってやつみたいでさー。むしろ、後から好きなった黒霧の方がダメじゃない?」

「なんだと!? やんのか!?」

「俺は無駄な喧嘩しません~。乱暴者は猫神になれないよ? ねー、枝乃」


 白亜が私の方を見て、ウィンクしながら言う。

 その表情はとても嬉しそうで、「白亜も本当に私のことが好きなのかも」って、思わされてしまう。

 ちょ、ちょっと何これ!
 
 急にモテ期到来ですか!?

 で、でも相手は人間じゃなくて猫神候補だし……。

 そもそもただのお付き合いならまだしも、中学生の私に結婚とか言われても!

 なんて、嬉しいような困るような気持ちで私が慌てていると。


「枝乃ー。愛羅ちゃんから電話よ~」


 お母さんが電話の子機を持って、私の方へと駆け寄ってきた。


「あ、愛羅から……?」


 な、なんでこのタイミングで!?と思いつつも、お母さんが受話器を押し付けてきたので、私は受け取って耳にあてた。