白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 最初は「お前を嫁にする!」だなんて、元気そうに言っていた黒霧。

 猫神になるための手段として、私を嫁に迎えるっていう感じで、そこに恋愛感情はまったく感じられなかった。

 だけど今の黒霧は、ちょっと熱っぽいような瞳でじっと私を見ている。

 そんな風に男の子に見られたことはないからよくわからないけど。

 なんだかその黒霧の顔、私のこと……。

 好き、って言っているように見えるんだけど?


「な、なーにもう黒霧! 変な風に見つめちゃって!」


 その雰囲気がなんだか恥ずかしくて、私は黒霧の背中をバンバンと叩き、冗談めかして言った。

 ――だけど。


「えっ!」


 黒霧はそんな私の手をがしりと握り、私を自分の方に引き寄せると、これでもかというほど顔を近づけてきた。

 お互いの鼻先が触れそうになるくらいに。


「ちょ、ちょっと、黒霧……」

「好きだ、枝乃」

「好き……? え、はああああ!?」


 ストレートな言葉すぎて、一瞬理解が追い付かない私の頭。

 その後すぐに言葉の意味は理解したけれど、気持ち的には全然理解できなくて、思わず叫んでしまった。