白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 これって、神社の伝承の「猫神が黄金の猫じゃらしを授かりに来る」って話では……?

 うーん、でもそんなまさか?

 古臭いおとぎ話のような伝説をまったく信じていなかった私は、すぐには受け入れられなかった。

 でも黒髪の彼が言っていることをまとめると、どうしてもそこに繋がる。


「おいおい黒霧(くろむ)。手荒なことしちゃダメじゃないか」


 白髪の男の子は、呆れたように笑いながら黒髪の彼――黒霧に向かって言った。

 さっき、黒霧のことを連れだって言ってたもんね。

 今にも暴れ出しそうな黒霧のことを、抑えてくれるんならよかったけれど……。

 黒霧は不機嫌そうに目を細めて白髪の彼を見据える。


「うっせーな。白亜(はくあ)、お前は引っ込んでろ」
 
「引っ込めないよ。この人たちは俺と家族になるんだし」

「あ? そこの巫女を嫁にすんのは俺だからな」

「いや俺だし」


 ふたり揃って訳の分かんないことを言い出し、私はもう混乱するしかない。

 猫神と黄金の猫じゃらしのことは、まあ信じてはいないけれど伝承を知っていたから、「え、本当に猫神なんていたの?」くらいの驚きで済むけれど。