「あんたばっかりかっこいい親戚に囲まれてずるいわよ! なんなの!?」

「ずるいって言われてなあ」


 私だって好きで囲まれているわけじゃないんだけど……。

 愛羅が猫屋敷神社の巫女だったとしたら、喜んでこの状況を受け入れそうだなあ。

 なんなら代わってくれないかなと密かに思ったけれど、神社の巫女になるには血筋が絡むから残念ながら不可能だ。


「ふん! 今日のところはこれで勘弁してあげるわ! ピアノのレッスン始まっちゃうし!」

「はあ……」

「……あっ。白亜くん、黒霧くん、バイバーイ!」


 少し離れた場所にいる、猫神候補ふたりに向かってかわいらしい声を上げ、手を振る愛羅。

 「ばいばーい」と白亜はのほほんと返事をしていたけれど、黒霧は何も言わない。

 そして愛羅は、去り際に私を一度睨んでから、ピアノのレッスンとやらに向かった。

 
「……なんだか激しいよな、あいつ」


 愛羅がいなくなってから、寄ってきた黒霧が呆れたように言う。

 激しさで言ったらあなたも結構引けを取らないけど……。