白猫王子と俺様黒猫~猫神の嫁なんてお断りですっ!~

 戸惑った私が、じっと黒髪の彼を見ていると、彼は私の存在に気づいたようでこっちを向いてきた。


「ん? お前がこの神社の今の巫女か?」

「えっ……。たぶん、そうだけど……」


 まるで息を吸うような頻度で、お父さんが「猫屋敷神社の巫女としての自覚が~」って私に言ってくる日々だったから、私は思わずそう答えてしまった。


「ふーん……」


 すると黒髪のイケメンは、私を頭のてっぺんからつま先までじっくりと観察するように眺めてから、こう言った。


「なんだ、こんなちんちくりんが嫁か」

「よ、嫁!?」


 白髪の男の子に引き続き、中学生の私にはまったく縁のなさそうなことを言われて、驚いてしまう。

 一体何なの!?

 ふたりとも、婚礼とか結婚とか、嫁とかって!


「まあ、結構かわいい顔はしてんじゃんか。悪くねえな。……っつーわけで、早く黄金の猫じゃらしを俺によこせ」


 お父さんとお母さんに向き直って、まるで強盗のような口ぶりで黒髪のイケメンは言う。

 さっきこの子、「俺は猫神候補」って言ってたよね……。

 それに黄金の猫じゃらしって。