学校からのいつも帰り道。

 その段ボール箱は、電柱の陰にそっと置かれていた。

 一緒に帰っていた友達と別れてからひとりで歩き、その段ボール箱が目に入った時から、私は嫌な予感がしていた。

 近づくにつれてもぞもぞと微かに箱が動いているように見えたし、「ミュー」というか細い声が響いたのも、たぶん聞き間違いじゃない。

 はあ、と私は大きくため息をついて箱を開ける。

 ――すると、やっぱり。


「二匹かあ。まあ、思ったよりも少なかったなあ」


 箱の中には、生後半年くらいの子猫が二匹。

 雪のように真っ白な一匹と、夜の闇のように真っ黒な一匹のコントラストが眩しい。

 二匹とも目は真っ青で、宝石みたいにきれいだ。

 猫は一回の出産で四、五匹生むことが多いから、それくらい箱に詰められていることを私は覚悟していたけど……。

 二匹ならまあ、そんなに大変じゃない。

 白と黒の子猫は、私の方を見て「ミャ―! ミャー!」と力強く鳴いている。

 うん、元気そうだ。


「よし、じゃあ行こうね」


 私は迷わずに段ボール箱を持って、そのまま歩き出した。