昼休みも終わり、午後の授業も終わり。

帰りのホームルームを終えると、各々で自分の送迎車に乗って帰る人、まったりと談笑しながら駅に向かう人、部活のために別の校舎行きのバスに乗る人たちがいた。


自転車通学の私は毎日片道20分、ビルが立ち並ぶ街中を走って登下校している。

このビルのほとんどがうちの学園だ。


少し肌寒い10月。

公園横を通るとキンモクセイの甘い香りに包まれる。

でも今日はホームルームが延びて、バイトに遅刻しそうなので大好きなキンモクセイがいつもより気にならなかった。

早くうち帰って、制服脱がないと。

この制服のままバイト終わりに自転車漕いでると、たまたま見た保護者に

「夜中に自転車漕ぐような下品な生徒がいる」

なんて通報されちゃうし、実際にあったのでお金持ちは怖い。


そんな帰り道、公園沿いの道を出ようとした時、いきなり人が前に出てきた。


「あっ!」