ツー…と額に汗が滴る。
生まれて初めて冷や汗をかいたかもしれない。
勤務1日目にして男装しているのがバレるなんて、最悪だ。
いやいやでもでも!
どうにか言い訳がうまくいけば、男を貫けるかもしれない!
「何をおっしゃいますか楓様!僕は男ですよ!」
「ふーん。そう来るのね」
楓様の眼差しが冷めたように感じる。
ふと、裕哉様に似てるなと思ってしまった。
「あなた、嘘がお下手ね」
「うっ、嘘ではありません!」
「あ、視線外した!自信ないわね!ちゃんとあたしを見て!」
楓様は私の頬を小さな手のひらで挟んだ。
裕哉様と同じことする!やっぱり兄妹だ!
「さぁ、泉くん。いや泉ちゃんかしら?白状しなさい!あたしは女って見破ってんだから!」
「女じゃありません!」
「ふんっ」
「あっ」
楓様が私の股間を軽く蹴った。
軽く触れる程度で痛くは無いけど…
「ほら無い。あったら軽くても悶絶するわ」
「あっ、あー、いたたた」
「生理的にも女と証明したわ。観念する?」
「……」
ああ…
私は悟った。
もう楓様に嘘は付けない
「わかりました楓様」
新しいバイト先、探さないとだ。
「私は女です」

