あっという間に面接が終わってしまった。
あれ、面接ってこんなに短いっけ?
ファミレスの時とかもう少し長かった気がするんだけどな…
執事室から大きな長い廊下に出ると、さっきのメイドさんがドアの側に立っていた。
「出口までご案内いたします」
「お願いします」
屋敷の外へ出るまで、足が速いメイドさんの後ろを追うのに夢中で、何も考えられなかったけど、
「もう二度と来ないだろうけど、気をつけて帰ってね」
「ありがとうございます」
屋敷を出ると、頭の中で面接のダイジェスト版が流れ始めた。
『私達執事の仕事が職場体験だと言いたいのですか?』
『あなたは男性ですよね?』
うわ〜〜〜!!!!!
面接時間が短かったってことは落ちるんだろうな。
これからどうしようかな。
「え、なんで泣いてるの?」
「え?」
私は涙目になっていたみたいで、メイドさんが慌て始めた。
「えっ、ごめんなさい!言いすぎちゃった!ハンカチハンカチ!」
「あっ、違うんです!これ、無意識で」
「あー、もうこういう所だから私は友達いないのよ!」
「ちょっ、あの、落ち着いて、えっ、」
どうしよどうしよ。えっと
パン!
私はメイドさんの目の前で手を叩いた。
メイドさんは目をまんまるにしたまま静止する。
「性格直したい」
「応援してます」
なぜか私が慰めるような形になってしまった。
そうだよ私だって慰めてもらいたいよ…!
なんて小さく思いつつ、メイドさんと握手してから門へ向かった。

