廊下の椅子に座る。

ジワジワと来る緊張感。

手が汗だらけになってきた。

隣の席には、綺麗にスーツを着こなした男の人が何人か座っている。

そういう人が執事になれるんだろうな。


いやいや!私だって!

ここまで来れたんだから、面接官の心をグッと掴ませて頂かないと!


変装用にくれた伊達眼鏡、まだ着け慣れなくて、鼻の付け根がくすぐったい。

眼鏡のズレを直す仕草って賢く見えるよね。

ちょっとやってみようか……


「225番さん」


頭の上から男の人の声がした。

天井のスピーカーだ。

それに225番は事前に知らされてた私の番号だ。


「執事長室へお入りください」

「はい!」


私は制服のズボンで手汗を拭ってから、執事長室へ入った。