その後、あれよあれよと庭で髪を切ってもらい、正体がバレないように眼鏡をかけて、東々高の男子の制服に着替えた。
沙耶は衣装調達からヘアメイクが得意で、ネットではコスプレイヤーから沢山の依頼が来るらしい。
「前頼まれたから、本見ながらやったらできちゃって、なんかその子が情報拡散したみたいでさ。ま、面白いからいいけどね」
と前に沙耶が言ってたことを思い出す。
「当日に言ったのに、なんで制服準備できたの?盗んだの?」
「そんなわけないじゃ〜ん!うちでも制服扱ってるんだよ。新品だからね!」
沙耶はそう言いながら、私の首元のネクタイを結ぶ。
「はいできた!」
沙耶に「おいでおいで」と呉服屋の中の大きな鏡の前に連れられた。
目の前にいたのは…
「わぁ」
胸の下まで伸びた髪が、肩にさえ触れないくらい短い…私
「男の子っていうより、ショートカットのメガネ藤乃だ」
制服のサイズはピッタリだったけど、なんだか着せられてるような感じがして、まだ私には着こなせないのがわかる。
「可愛いよ〜」
「可愛いんじゃなくてかっこいいって言われたい〜!」
「可愛い男の子って感じだよ。藤乃から可愛いは取れないね〜」
沙耶はそう言って肩を叩いた。
しばらくすれば馴染むかな。
不安がむくむくと大きくなる。
「さてさて和泉さん次はこちらですよ」
再び2階の沙耶の部屋に連れられ、沙耶は机から紙とペンを出した。
見た目が男の子になってきたので…
次は名前だ!

