この日はほんとにたまたま、私のバイトが休みで、沙耶の部活も休みだったので、放課後に沙耶の家へ来た。


秋の少し冷えた風が流れる中、住宅街の中に立つ、古びた日本家屋。

沙耶の家は江戸時代から続いている呉服屋さんだ。


「ごめんくださーい」


裏口の戸をカラカラと開ける。

ここに来ると毎回かしこまった気持ちになる。


「いらっしゃーい!さ、上がって上がって」


私は沙耶に手を引かれて、2階へ上がった。


沙耶の家に来た理由。


「ちょっとサイズ合うか見てもらっていい?」


沙耶の部屋にかけられた、東々高校の男子の制服。


「うん、合いそう」

「よしよし」


執事バイトを受けるために男装を始め…ます!!