「春希が仲良くするくらいだから悪いやつじゃないのかもしれないけど、それはそいつの話で、あの学校のやつらは俺たちのこと見下してるよ」
「……」
それはまあ、ひしひしと伝わってくる。
駅前ですれ違う時。野球場ですれ違う時。冷ややかな視線と聞こえるように言われる軽薄な言葉。
腹立つし、言い返したい、けど、頭も運動も言われた通りわたしたちはできない。
タケちゃんやキドっち、ホッシーみたいにもともと就職目当てでこの学校に入ってる人もたくさんいるけれど。
わたしみたいにどうしようもなくて、のほうがいっぱいいる。
「…んな心配しなくたって、身の程はわきまえてるよ」
もう、本当に、会うことはないよ。
知ってるのは名前と、何かに悩んでいることと、優しいところ、だけ。
そんなんで何がはじめられるっつーんだよ。
「だいたいユズが気にすることじゃねーだろ」
「気にしてんじゃなくて心配してんだよ」
「心配ねえ。たとえわたしがバカにされたって関係ないだろ」
「…春希がバカにされたらむかつく」
ユズは自由気ままなようで、すごく友達思いだ。
うちの学校は1年の時は、機械科・電気科・デザイン科・情報科・アプリケーション科をローテーションして体験し、入りたい科のテストを受け、合格すれば2年で学科ごとに振り分けられる。
特にデザイン科は女の子に、情報科は男の子に人気が高くて、成績によっては希望が通らないこともある。
わたしはもともと成績順で入る自信がなくて人気のねー機械科を選択してたけど、マナはデザイン科を志望していた。
それが機械科になってしまって、男子ばっかりのクラスで、女子は個人プレイヤー。馴染めずにいる美少女をみんなの輪に自然なかたちで率いれたのがユズだった。