あかねくん曰く、高3のクラスが決まるのは3学期明けすぐって話だった。

だからてっきり彼の言う「しばらく」は年明け1月や2月のことだと思っていたんだ。


だからちょっと、さすがに何回か、時計塔に向かっちゃったりした。…んだけど、会えないまま、4月。——— 進級した。



あれ以来、1ミリも会ってない。

てっきり気が済んだら学校前とかまで来てくれるんだろうなって勝手に思ってるんだけど、しばらく、って長すぎない?いつ?もうクラスも決まった頃だろ…!

もしかして試験、だめだったとか……。



「あんな頭良いやつ、よっぽどのことがなきゃだめとかないだろ」


いつまで経っても会える様子がないことに焦りはじめたわたしに、今日も今日とてユズは容赦ない。


ほかのクラスのやつだってわたしとあかねくんが別れたって揶揄ってきやがる。

…別れたもなにも付き合ってねーしっ。

なんて強がりたいけど、強がりかたがしょうもなくて何も言えない。


わたしたちはというと、2年から3年はクラス替えがないから、とにかく2年3学期の総合テストで全教科赤点以上の点数を取ることだけを目標に猛べんきょーした。

正直に言うと今まででいちばんやった。タケちゃんは自分のべんきょーもあるはずなのに面倒を見てくれた。なんて良いヤツなんだ。


そんなわけで奇跡的にみんな赤点を免れ、誰ひとり欠けることなく進級することができた。