軽く深呼吸をしてから水に全身を沈める。 袖口だけ赤くなった真っ白なパーカーは深い藍色に、 ひんやりとした塩水は真新しい無数の切創に沁みた。 海に溶けて行く鮮血、目を閉じると永遠の闇。 『 自分の死を哀しんでくれる優しい人が一人でも居ますように、… 』 薄れゆく意識の中、最後の願いを泡沫に託した。 Fin.