「俺、今までは世にも優しい弟だったかもしれないけど。これからは、弟じゃないし。時々、ちょっと危ないオオカミになるかもしれないけど」




「……⁈」





「ちゃんと、心の準備しておくように」





ぽんぽんと頭をなでられて、幸せそうに笑った莉生にきつく抱きしめられて。





「あ、あの、莉生……?」





「大好きだよ、アリス。これからも、俺がずっとアリスのことを守るから」





見上げると、ふわりと優しく笑った莉生の向こうで、初夏の青空がきらきらと輝いていた。







Fin