「知り合い?」



顔面蒼白のアリスが、震える唇で無理やり言葉をくりだした。



「……あれ、お父さん」



「え?」



スーツ姿のおっさんのすぐ後ろには若い女がいて、昼間だっていうのにベタベタくっついていて、見てるほうが不愉快。



「行くぞ、アリス」



アリスの手を握ると、逆方向へ走った。




家へ帰るまで手をつないでいたけど、アリスは一言も話さなかった。