「どうしたの、莉生?」



「なんでもないよ」



ひゅうっと冷たい風がふいて、立ち上がる。



アリスのこと、風邪ひかせてもな。



「そろそろ行くか」



手をさしのばすと、アリスがぎゅっとその手につかまり立ち上がる。



アリスの小さな手のひらにドキついてる俺、とりあえず処刑な。



つぎの瞬間、つま先立ちをしたアリスに頭を撫でまわされた。



「頑張れ、弟! よしよしっ!」



…………⁈



「おいっ、ふざけんな! 俺より頭ひとつ小さいくせに、生意気!」



「あはっ! 弟の分際で、莉生こそ生意気っ!」



「アリスこそ、もっと俺を敬え!」



アリスとふざけあっていると、屋上の扉が開いて、アリスが動きを止める。