「莉生、最近、よく考え事してるよな」



「べつに」



って、上谷に答えたものの。



あー、もう、自分に腹が立つ……!



アリスに弟扱いされて、どうしようもなくイラついた。



だからって、アリスを傷つけてどうすんだよ……。



アリスにやつあたりするとか、最低だろ。



アリスと一緒に生活してると、自分が健全な男子高校生だってことを、嫌というほど思い知らされる。



気を抜いたら、きっとアリスを押し倒す。



アリスの小さな仕草のひとつひとつに、心臓をひねりつぶされて、それなのに全く男として見られてない現実に、苦しくなる。



アリスと一緒にいると、感情のコントロールが全然できない。



もう、何をしていてもアリスのことが頭から離れない。



あんなにかわいい生き物と一緒に暮らすとか、いろいろ通り越して、恐怖でしかない。



こんな調子で、俺、大丈夫なのか?



アリスは義理の姉なのに。



いや、ダメだろ。全然ダメだろ。



アリスのこと、怖がらせて、怯えさせて。



マジで、なにやってんだよ。



そもそも、昨日のアリスはなんだったんだ?



昨日、家に帰ったらドラマで女優が着てるようなフワフワのルームウェアを着て、髪をおろしたアリスがいた。



なんだったんだ、あの可愛い生き物は?



あいつ、マジで俺の心臓を爆破させるつもりなのか?



こっちは、アリスへの気持ちを押さえるのに必死なのに、へらっと笑って弟扱いしてくるし。



動揺しすぎて、まともに目が合わせられなかった。


いや、だから! 可愛いよ、アリスは。



めちゃくちゃ可愛いよ。



ジャージ姿でも、トドみたいに転がってても、可愛いんだよっ。



そんなアリスが、あんなカッコで俺に料理つくるとか、俺の心臓、爆発するだろ。



殺す気か! っつうか、一瞬で心臓をひねり潰されたっつうの!



緊張しすぎて、まともに会話はできないし、目も合わせられないし。



アリスを怖がらせるつもりも、傷つけるつもりもなかったのに……。



アリスのことを押し倒しそうになるのを、限界ギリギリで我慢してんだよ。



部屋にこもるしかないだろ。



とにかく、完全に俺が悪い。



こうしてる間にも、アリスが傷ついているのかと思うと、いてもたってもいられない。