「え?」



「部屋で休む」



くるりと背中を向けて部屋に入ろうとした莉生を、腕をつかんで引き留めた。



「莉生、昨日はごめんね! その、もっと姉らしくなれるように頑張るから!」



「は……?」



一瞬、眉を寄せた莉生の顔が、だんだんと険しくなっていく。



「……アリス、なにもわかってないんだな」



深いため息とともに、莉生がどんっと肘で壁ををたたいて飛びあがる。



ひゃっ!



つぎの瞬間、壁を背中に、瞳の鋭くなった莉生の両腕に閉じ込められた。



莉生と壁のあいだで身動きできずにいると、莉生が吐き捨てるように呟いた。



「……マジで、ふざけんなよ」



怖い顔でバタンとドアを閉めると、それっきり、莉生は部屋にこもってしまった。