むすんで、ひらいて、恋をして

翌日、走って下校して、莉生が帰ってくる前にふわふわのルームウェアを棚からひっぱりだして、夕飯の支度にとりかかる。



私だって、お母さんの仕事の日には、ご飯づくりしてたし!



お料理の腕は莉生にはかなわないけど、簡単なものなら作れるし!



今夜も莉生とふたりきり。



夕飯に莉生の好きなグラタンを作ったものの、莉生は目を見開いて固まっている。



……ものすっごく微妙な反応。



帰ってきたときから、莉生はほとんど話さない。



夕飯の時間まで、部屋にこもってたし。



もしかしたら、いつものジャージのほうが良かったかな?



こういう女子っぽい服、キライだった? 



可愛いらしい女の子しか似合わないような服をトドの私が着て、かえって、イラ立たせちゃった?のかも。



姉らしくしてみたつもりなんだけど。



グラタンを食べていても、莉生は全然話さない。



心なしか赤い顔をした莉生はムスッとしたまま、無言で食べている。



昨日のこと、まだ怒ってるのかな。



「美味しい?」



「ん」



……素っ気ない。



ま、莉生には料理ではかなわないからなあ。



お母さんたち、早く帰ってこないかな。



莉生がなんだかピリピリしている。



「莉生、今日は全然、しゃべらないんだね」



「そりゃ……」



「そりゃ?」



「……なんでもない」



そっか。



仕方ない。



お皿でも片付けよう。



「……そんなカッコされたら、我慢できなくなるんだよ」



ボソッと莉生がなにか言ったような気がして、振り返る。