「うっわああああああああっ! おま、おま、お前、な、な、なにしてんだよっ‼」



「……こっちのセリフ‼ 莉生こそ、いい加減にして‼」



「か、か、か、勝手に人の腕のなかで寝るな!」



「莉生こそ、人のこと抱き枕にしないでよっ!」



心臓、止まるかと思ったんだから!



おでこが! とくに、おでこが燃えそうに熱いんだから!



「も、もしかして、俺、アリスになにか、した?」



「抱き枕にされただけ」



「……ほかには?」



でこちゅーされました、とか言えるか!



「リスがどうとか、言ってたけど。どうして、そんなに怯えた顔してるの?」



「いや、俺の煩悩が、理性とちょっと……」



「は? とにかく、起きようよ!」



がばっと起き上がると、ごくごくと麦茶を飲んで気持ちを整える。



ううっ、おでこが。私のおでこが……。



「つうか、背中、痛い……」



「うん、バキバキだね……」



って、言いながら、莉生は全然、目を合わせようとしない。



私も莉生から目をそらす。



「あー、よく寝て、すっきりした! ご褒美にコンビニ行ってこようかな。甘いもの食べたくなった」



とりあえず、普段通りを装ってみるけど、動揺しすぎて声が裏返る。



おでこ、めっちゃくちゃ熱いし!



「ごほうび?」



「そうそう、テスト終わったごほうび!」



笑って伝えて、部屋にお財布をとりに来たけど。



さ、さすがに恥ずかしくて、莉生の顔が見れないよ……!



くっ……、ドキドキしすぎて、心臓が壊れそう。



だって、莉生は寝ぼけてたから気が付いてないみたいだけど。



ずっと、莉生の唇が私のおでこにぶつかってたんだから!



すごい力で抱きしめられてて、全然、はなれられなかったんだから!



「りす、りす」って繰り返してて!



あー……もう、ドキドキしすぎて、心臓に悪い!



まったく、どんな夢、見てたんだろ。



リスに、エサあげる夢?



とにかく、心臓が爆発しそうだった……。



おでこが、燃えそうに熱い……。



ちょっとコンビニに行って、頭冷やしてこよう……。



莉生とこのまま一緒にいても、心臓によくない。



莉生の顔を見ないまま、お財布を持って、玄関に向かったところで、



「俺も、一緒に行く」