ち、ち、ち、ち、近いっ!



っていうか、も、もう、くっついてた‼



り、り、り、莉生の口と、私のおでこがくっついてた‼



うぎゃああああっ‼



あー、もう、心臓がバクバクしすぎて、うるさいっ‼



莉生は、ぐっすり眠ってて、全然気づいてないし‼



慌てて離れようとしたものの。



へ? 動けない。



……な、な、な、な、なんで⁈



って、莉生の両腕が、がっしりと私の背中に回されてる!



私、抱き枕だと思われてるっ‼



「ねえ、莉生‼ ちょっと、莉生ってぱ‼」



「ァリス……」



「莉生、起きて!」



「す……き、だ」



「え? なに言ってるの? とりあえず、重い!」



「……リス」



「は? りす?」



「リス……」



「ねえ、莉生!」



完っ全に、私のこと、抱き枕と間違えてるっ‼



「莉生っ! 起きてっ! 起きなきゃ殴るっ! 今スグ起きろ‼」



どんどんと、莉生の胸をたたくと、煩わしそうに莉生が眉をよせる。



じっと莉生の胸のなかから莉生を睨んでいると、莉生がゆっくりとまぶたをひら
く。



まだ眠そうな莉生の瞳と視線がからんで、莉生が首をかしげて、一時停止。



「莉生、はなして‼」



声を大にして伝えたものの。



莉生がこの状況を理解するまで数秒経過……。



「あ、あれ? アリス⁈」



「はなしてっ‼」



とたんに、大きく目を見開いた莉生が、私から手をはなし、ごろごろと勢いよく部屋の隅まで転がった。