好きだなんて言えない。

「熊原、お前は離れてろ。」

ぼそっとそう言ってくれた、松本くんにわたしはこくこくと頷き、裏庭に続く扉の後ろに隠れる。

敵はあの、谷藤せんぱい1人みたいだけど…………なんか強そう…………。
ま、松本くん大丈夫なのかな…………?

ハラハラと見守る中、松本くんはブレザーを脱ぎ捨てシャツを腕まくりする。
ーーそして、ほんの数秒の出来事だった。