「は、はは……。私、熱中症かな。幻聴が聞こえちゃってる」
「幻聴じゃねーよ、アホ。あいつに手垢なんて、つけられやがって」
「て、手垢って……」
「俺、ずっと苛ついてんの。お前にも兄貴にも、ふたりが色々しようとしてたこの夏にも」
笑って流そうとしても、浦野は私のことを逃がさないって目をしてた。
もしかして、先輩と旅行に行こうとしてたことも知ってる?
誰にも言ってないのに、なんでバレたんだろう。
先輩が、浦野に言ったのかな。
旅費はほとんど私持ちで、一泊するんだーって?
俺のために水着も買って、写真もいっぱい撮りたいらしい。友達が彼氏と旅行に行ったから憧れてるみたい。なんかめちゃくちゃ張りきってるよ。俺はちょっと面倒なんだけどね。
そんな会話が、目に浮かぶ。



