「・・・楼・・・
 三・・・・・・

 三楼・・・サブロー!!!」

重すぎる瞼を渾身の力を持って動かしながら、目の前に浮かぶ丸い2つの黒真珠を見据える。
昨日の晩、自分が何をしたのか思い返したら、すぐ答えが出た。徹夜で執筆にのめり込んでいたら、体力切れを起こしてそのままベッドに飛び込んだ。
・・・いや待て待て、自分がやるべき事はそこではない。手探りで落ちている筈のスマホを探していると、枕の下に違和感を感じ、片手を突っ込んでみると、予想通りスマホが隠れていた。
そして電源ボタンを押し込むと、そこに表示されていたのは・・・

「7時50分んんんんん?!!」

時刻を突きつけられた私の体は、一気に覚醒した。その勢いのままベッドから飛び出し、ダッシュで洗面所へ向かう。
もう長袖を捲る時間すら惜しくなり、重い袖を振りながら顔に冷水をぶつけた。そして引っ掻くように顔を撫でながら、もう片手は歯ブラシを探している。
でも、こうゆう時に限って慣れている所を探知できないのが痛い。歯ブラシには手が届いたのだが、支えにしていたコップまで転がってきた。
だがそんなこと気にしてられる時間はない、私はそのまま洗面台に落ちてきた歯ブラシを拾い上げると、まだ焦点の合わない目で、今度は歯磨き粉を探す。



フワッ

「・・・??」

「三楼(さぶろう)、ちょっと落ち着いて。」