すると、ノエルが奥にあるバスケットボールを両手で掴んだ。
「アンタ見てるとイライラすんだよ!」
言いながらあたしの顔面目掛けてバスケットボールを投げた。
まさかの事態に避けることもできずボールはあたしの顔面にぶつかった。
「痛い――!!」
物凄い衝撃。鼻の骨が折れたんじゃないかというぐらいの痛みに思わず声を漏らしてその場に座り込む。
ジンジンと痛む鼻を指で押さえると、ツーっと何かが滴り落ちポタポタと床にシミを作った。
鼻血だ。手の甲で鼻の下を拭うと、それを見ていた海荷が嫌悪感を露にした。
「ちょっと、鼻血手でふくとか汚いんだけど。マジ無理!」
抑えても鼻血は止まらない。
「どうして……」
顔を持ち上げてノエルの方を見る。すると、ノエルは再びボールをあたしの顔面めがけて投げつけた。
今度は頬に当たった。
衝撃で仰向けに倒れると、ノエルはあたしのお腹を足で押さえつけた。
「やめて……」
「はぁ?聞こえなーい」
「お願い、やめて」
頬が熱を帯びたように痛む。



