イジメ返し―連鎖する復讐―

そのとき、遠くから楽しそうな笑い声が聞こえた。

「え……?」

他の部活の子は帰り、折原先生も職員室へ戻った。

だとしたら、誰……?

「――ちゃんとやってる~?」

現れたのはノエルと海荷と瑠偉だった。

制服に着替え終えた3人は倉庫の中にいるあたしの前まで歩み寄った。

ひゅっと喉の奥が鳴った。嫌な予感が全身を駆け巡る。

「もう終ったよ……。鍵、職員室に返してくるね」

「待てよ」

ノエルの声に身を固くする。

「アンタ、全然掃除できてないじゃん。ちゃんとやれよ」

ノエルは汗だくで必死に集めたちりとりのほこりを床にぶちまけた。

「はい、全部やり直し」

「そんな……」

「何。なんか文句あんの?」

「文句はないけど……」

あってもこの状況じゃ言えない。

とにかく、早く出て行ってもらいたい。

ここで機嫌を損ねたら大変だ。

「だったら、早くやれよ」

ノエルの隣で目を見合わせて笑う海荷と瑠偉。

目頭が熱くなって涙が出そうになる。

泣かない。絶対に泣かない。

必死に堪えてあたしは再びほうきとちりとりを持ち掃除を続ける。