ぐっと拳を握り締めて耐えるあたしに周りから冷ややかな視線が飛んでくる。

「正直、俺も深山の気持ちが分からないでもないんだ。確かに瑠偉はしばらく部活を休んでいたし、瑠偉が突然試合にでるのは不公平だって思う気持ちを持つのはおかしいことじゃない」

「先生!?それじゃ瑠偉じゃなくて咲綾を――」

「ノエル。声を荒げず最後まで聞くんだ。ただ、俺はあの言葉だけはどうしても認められないと思ってな」

「あの言葉?」

「俺が次の試合は瑠偉でいくと決めていると話したら……俺のことを変態教師だと罵ってきてな」

「は!?何それ!!」

部員が一斉にザワザワと騒ぎ始める。

「レギュラーになれない悔しさは先生もよく分かる。ただ、逆恨み的にしたそんな発言を容認することは到底できない」

先生の言葉に顔が引きつる。

この男は一体何を言っているんだ。

あることないこと、どうしてそんな作り話ができるのか理解できない。