「部活帰りに俺は夜道で男に襲われた。バッドで何度も叩かれて足を折られたんだ」

「それがなに……?」

「その男に俺をやるように指示を出したのはお前なんだってな?全部エマちゃんに聞いたんだよ……!」

菅田君は松葉杖の先端であたしのお腹をグリグリを押す。

「痛い!!やめて……!!」

「やられっぱなしでいられるかよ!!俺の痛みをお前にも味合わせてやる!!」

「待って……!意味が分からない!」

「うるさい!!黙れーー!!!」

菅田君は目を血走らせて何度も何度も松葉杖を振り下ろした。

内臓をえぐられるような腹部の痛みに顔をゆがませる。

あまりの痛みに息ができない。

どうして――。菅田君のことを襲わせたのはあたしじゃない――!!

エマなのに。

意識が遠のいていく中、瞼にエマの笑顔が浮かんだ。

『人を傷付けたら罰が下るんです。全部、咲綾先輩の行いのせい……因果応報ですよ』

これがあたしへのイジメ返し……?

まさか自分がイジメ返しをされるなんて想像もしていなかった。

でも……エマの言う通りなのかもしれない。

イジメにあいその痛みを知っていたはずのあたしは忍を追い込もうとした。

どうやったら忍を傷付けられるのか……そんな恐ろしいことを考えてしまっていた。

あたしはどうかしていた。

もっと早く気付いていればこんなことにはならなかった……?

後悔がこみ上げてくる。

ただ、楽しくバスケができればそれだけでいい。それだけでよかったはずなのにあたしはどこで道を踏み外してしまったんだろうか……。

エマの笑顔がぐにゃりと歪んだ時、あたしの意識は完璧にシャットダウンした。