木々の中にポツンとある古ぼけた男女兼用のトイレに辿り着く。

「ここで待ってるからね」

そう告げて菅田くんに視線を向けた瞬間、側頭部に物凄い衝撃が走った。

あたしは弾き飛ばされ、トイレのタイルに仰向けに転がった。

「なっ……!!」

驚いて菅田君を見上げる。彼は目を血走らせて興奮したように荒い呼吸を繰り返す。

耳の上の当たりがジンジンと痛む。菅田君に殴りつけられたのだと気付いて、驚きに目を見開く。

「どうして殴るの……!?」

「どうしてだと?俺の足をこんな風にしておいてどの口が言うんだ」

「えっ……?」

「俺は今回の大会に全てをかけてたんだよ。大学のスポーツ推薦をとれるかどうかの大切な大会だった。大学関係者も見に来てくれることになってたのに……お前のせいで俺の人生は滅茶苦茶だ!!」

「待って!どういう意味……?あたしにはさっぱり……」

「しらばっくれてんじゃねぇよ!!」

彼は松葉づえを両手で掴んであたしの太ももに振り下ろす。

「や、やめて!!痛い!!」

何度も執拗にされ、ぶつかった部分がみるみるうちに内出血を起こす。