紙に書かれていたのは学校から1時間ほどの距離にある廃病院の跡地だった。
電車とバスを乗り継ぎ、病院までは徒歩で向かった。
遠くのほうでカラスがギャーギャーと鳴いている。
病院までの道のりは傾斜が多くすでに足が棒のようだ。
病院の周りには立ち入り禁止という看板が立ち、鬱蒼とした背の高い雑草が生え不気味な雰囲気を醸し出している。
「……咲綾……?どこなの?」
ロープをくぐり敷地内に足を踏み入れる。
病院の入り口はガラスが割られ簡単に入ることができた。
まだ廃業して数年しか経っていないのに病院の中の壁はスプレーで落書きされてひどく汚れていた。
シンっと静まり返った受付を抜け数メートル歩いたところでふと立ち止まる。
おかしい。明らかに人の気配がない。
あたしは咲綾に騙されたのかもしれない。
最初からおかしかった。この場所へ来るようにとメモを渡されたとき感じた違和感はこれだ。
アイツはあたしを騙すために事前にこのメモを用意していたんだ。
「騙された……」
これは嫌がらせだ。だからわざわざ待ち合わせ場所にここを選んだんだ。
きっと今頃素直に従ったあたしをあざ笑っているに違いない。
「ハァ……」
まんまとはめられてしまったと大きな息を吐き出した時、
「騙してないよ」
背後で声がした。
振り返ろうとしたとき、首筋に何かを押し当てられた。
それが何か考える前に目の奥に火花が飛んだ。
意識が遠のき、膝の力が抜ける。
崩れ落ちるように倒れこむと、頬に鋭い何かが刺さったような感覚とともに痛みが走った。
電車とバスを乗り継ぎ、病院までは徒歩で向かった。
遠くのほうでカラスがギャーギャーと鳴いている。
病院までの道のりは傾斜が多くすでに足が棒のようだ。
病院の周りには立ち入り禁止という看板が立ち、鬱蒼とした背の高い雑草が生え不気味な雰囲気を醸し出している。
「……咲綾……?どこなの?」
ロープをくぐり敷地内に足を踏み入れる。
病院の入り口はガラスが割られ簡単に入ることができた。
まだ廃業して数年しか経っていないのに病院の中の壁はスプレーで落書きされてひどく汚れていた。
シンっと静まり返った受付を抜け数メートル歩いたところでふと立ち止まる。
おかしい。明らかに人の気配がない。
あたしは咲綾に騙されたのかもしれない。
最初からおかしかった。この場所へ来るようにとメモを渡されたとき感じた違和感はこれだ。
アイツはあたしを騙すために事前にこのメモを用意していたんだ。
「騙された……」
これは嫌がらせだ。だからわざわざ待ち合わせ場所にここを選んだんだ。
きっと今頃素直に従ったあたしをあざ笑っているに違いない。
「ハァ……」
まんまとはめられてしまったと大きな息を吐き出した時、
「騙してないよ」
背後で声がした。
振り返ろうとしたとき、首筋に何かを押し当てられた。
それが何か考える前に目の奥に火花が飛んだ。
意識が遠のき、膝の力が抜ける。
崩れ落ちるように倒れこむと、頬に鋭い何かが刺さったような感覚とともに痛みが走った。



