イジメ返し―連鎖する復讐―

「……あれ？スカート汚れてるけど、大丈夫？」

咲綾はあたしのことを見て目を細めて楽しそうな表情を浮かべた。

「写真をバラまいてんのアンタでしょ？」

「だったら？」

上から目線で言う咲綾に体中から怒りが込み上げてくる。

「アンタがイジメられてることを知って同情した全く関係のないあたしのクラスメイトたちが今度はあたしをイジメのターゲットにした。このスカートだってそう。あたしを苦しめてもう十分満足したでしょ？」

「この程度で満足するはずないよ。あたしは死ぬ一歩手前までノエルたちに追い詰められたんだから」

「……っ、それならどうしたら許してくれるわけ？」

今すぐ殴り掛かりたいのを必死に堪える。

あの動画と写真をとり返せればこちらのものだ。

「許す？まさか。そう簡単に許せるはずないよ」

「……分かった。許さなくてもいい。だから、お願い。写真と動画を返して」

「それを返したところであたしにはなんのメリットもないよ？」

「二度とアンタのことをイジメない……。ううん、それだけじゃない。あたし、部活を辞める。アンタには二度とかかわらない」

瑠偉も折原先生も不在の今、引退試合に出たところで結果は知れている。

バスケを続けていても父はどうせあたしを認めてくれない。

「本当にもうイジメない？約束してくれる？」

「……約束する。不満ならお金も……用意する。いくら欲しいの」

あたしの言葉に咲綾がにっこりと笑った。

「大切な話だし、ここじゃちょっとね……。放課後、ここにきて？」

咲綾は一枚の紙をあたしに手渡してにっこりと微笑んだ。