イジメ返し―連鎖する復讐―

翌朝、学校へ行き教室に入った瞬間違和感を覚えた。

全員が一斉にこちらを向き冷たい視線を投げかけてくる。

「なに?なんなの……?」

そう呟きながら自分の席に向かおうとすると、あちこちでコソコソとあたしを非難する様にクラスメイト達が囁き合う。

「……ハァ。何!?いいたいことあんなら言えば!?」

「あれ、お前だろ?最悪だな!」

叫ぶと、男子の一人が黒板を指さした。

「ハァ?」

黒板に歩み寄ると、そこには一枚の写真が貼られていた。

それはまさに昨日家で見たものと一緒だった。

「お前、それはヤバくね?部長のくせに部員イジメてどうすんの?」

「……チッ」

写真を黒板から剥がしてビリビリに破いて投げ捨てると自分の席に向かう。

咲綾が何をしても動揺してはいけない。

あたしは認めない。咲綾をイジメてなどいないと主張し続ける。

あったことも認めなければいいのだ。

謝ることなどしない。それは負けたも同然だ。

しかめっつらで自分の席に座ると、周りにいた女子達が手を叩いて大笑いをした。

「やっばー、大成功じゃん」

「あはははは。まだ気付いてないって」

クラスのモブキャラが群れて大騒ぎしていることほど不快なことはない。

「うるせーな」

ポツリと呟いて椅子を引いた瞬間、違和感に気が付いた。

ハッとして振り返る。スカートが椅子に張り付いてしまっている。

「はっ?なにこれ」

椅子を振り返ってみていると、再び周りで大爆笑が起こった。

必死になってスカートを引っ張ると椅子から剥がれたものの、お尻の部分の生地が白くなってしまっている。

「スカート破けなかったじゃん!」

「接着剤くっついたのに、意外とすんなり剥がれるんだね」

あたしの椅子に接着剤を付けた……?

ふざけんなよ。

あたしはスッと立ち上がると、モブたちに近付いていき一人の肩を押した。

「きゃっ!!」

尻もちをついたモブの隣で真っ青な顔をしている奴の顔を平手打ちする。

教室中がシーンっと静まり返る。

「アンタらだってあたしに同じことしてんじゃん。自分たちだけ違うと思ってんなよ」

吐き捨てるように言うと、尻もちをついたモブが肩を震わせて泣き始めた。

周りから痛いほどの視線を浴びながら教室を出た。

とそのとき、ドンっと肩に誰かがぶつかった。

「いたっ」

顔を上げるとそこにいたのは咲綾だった。