人の気持ちも知らずにいちいち部内のことに口を出してきた咲綾が悪い。
最初はそんな言い訳をしながらイジメていたけど、徐々にそんな気持ちは薄れてしまった。
咲綾をイジメているときだけは、嫌なことを全部忘れることができた。
もっと。もっと。もっと……。
苦痛に歪む顔を見ると快感だったし、どうやったらさらに苦しめられるか考えるだけで心が躍った。
海荷も瑠偉も折原先生も、みんなが咲綾をイジメた。
徐々に顔色が悪くなってやせ細っていく咲綾。
あと少しで咲綾を部活から追い出すという目標を達成できるはずだった。
それなのに――。
「神宮寺エマ……」
あの女と親しくなってから咲綾は元気を取り戻すようになってしまった。
それどころか、バスケ部内でおかしなことが立て続けに起こった。



