リビングを追い出されたあたしは自分の部屋に入るとベッドにダイブした。
「なんで話すら聞いてくれないのよ……」
あまりの悔しさに大粒の涙が溢れた。
昔からあたしは露骨に姉のマリアと比較されてきた。
マリアは確かに完璧だった。
父の先輩医師が進めてくれたというお嬢様幼稚園に進み、この辺りでは有名な私立の小中高を卒業後、名門私立大学の医学部に入学した。
運動も勉強も全て完璧で、容姿端麗で才色兼備だと周りの人間にもてはやされて父はいつも得意げにしていた。
それなのに、あたしは何故か家の近くのこじんまりとした幼稚園に通わされ小中高と公立の学校に進み、挙句の果てに大学の学費を出さないとハッキリ言われている。
同じ姉妹なのにどうしてあたしだけ差別を受けるのか分からない。
姉のようになろうと小学校でも中学校でも必死になって勉強も運動も頑張った。
中学での成績は常に一番だったし、通知表は5段階中すべて5を取った。
でも、父は認めてくれなかった。
あたしが何をしようとどんなに努力しようと『マリアのお荷物にだけはなるな』と常に釘を刺した。
勉強と運動ができるだけじゃダメなのかもしれない……。
父が小中高とバスケットに打ち込んでいたと知り、中学からバスケ部に入り必死に努力した。
レギュラーを勝ち取り部長になり中学の地区大会では優勝までした。
父の関心を少しでも引きたかった。
だから高校でもバスケ部に入った。
瑠偉は背は小さいながらこの辺りでは有名なプレーヤーだったし、折原先生は弱小高を全国まで導いた実力がある。
うまく結果を出せば父も認めてくれるかもとわずかに期待した。
だから、先輩たちが引退して部長に選ばれた時天にも昇る気持ちだった。
今までどんなに頑張っても父はあたしを認めてくれなかったけど先輩たちはあたしを認めてくれた。
努力は報われるんだとわずかに希望がみえた。
もっと頑張ろう。そうすればきっと父もあたしの頑張りを認めてくれると努力をしていた矢先に父に言われた。
『バスケットにのめりこむのがいいが、並行して就職先を探しておけよ』と。
あたしは焦った。このままでは高校卒業後、路頭に迷う。
嫌なことは続くものだ。
『中村先輩より深山先輩が部長の方がよかったよね』
と後輩たちが噂しているのを知ってしまった。
部員全員をまとめるのは大変だった。
自分なりに一生懸命やっていたつもりだ。
それなのに……。
『もっとちゃんとやろうよ』
あの日、咲綾に言われた瞬間頭の中で何かがプツンっと切れた気がした。
どいつもこいつも全員、ふざけんな。
前々から咲綾のことをウザいと思っていた。
バスケのことだけを考えていられる咲綾が妬ましかった。
練習試合の度に両親が応援にきて、可愛いお弁当をつくってもらえて、真新しいシューズを買ってもらえる咲綾が妬ましくて仕方がなかった。
あたしにないものを咲綾は全部持っている気がした。
だから、奪ってやることにした。
咲綾の一番大切なバスケを。二度とバスケができないようにしてやる。
部活から追い出してやる――。
「なんで話すら聞いてくれないのよ……」
あまりの悔しさに大粒の涙が溢れた。
昔からあたしは露骨に姉のマリアと比較されてきた。
マリアは確かに完璧だった。
父の先輩医師が進めてくれたというお嬢様幼稚園に進み、この辺りでは有名な私立の小中高を卒業後、名門私立大学の医学部に入学した。
運動も勉強も全て完璧で、容姿端麗で才色兼備だと周りの人間にもてはやされて父はいつも得意げにしていた。
それなのに、あたしは何故か家の近くのこじんまりとした幼稚園に通わされ小中高と公立の学校に進み、挙句の果てに大学の学費を出さないとハッキリ言われている。
同じ姉妹なのにどうしてあたしだけ差別を受けるのか分からない。
姉のようになろうと小学校でも中学校でも必死になって勉強も運動も頑張った。
中学での成績は常に一番だったし、通知表は5段階中すべて5を取った。
でも、父は認めてくれなかった。
あたしが何をしようとどんなに努力しようと『マリアのお荷物にだけはなるな』と常に釘を刺した。
勉強と運動ができるだけじゃダメなのかもしれない……。
父が小中高とバスケットに打ち込んでいたと知り、中学からバスケ部に入り必死に努力した。
レギュラーを勝ち取り部長になり中学の地区大会では優勝までした。
父の関心を少しでも引きたかった。
だから高校でもバスケ部に入った。
瑠偉は背は小さいながらこの辺りでは有名なプレーヤーだったし、折原先生は弱小高を全国まで導いた実力がある。
うまく結果を出せば父も認めてくれるかもとわずかに期待した。
だから、先輩たちが引退して部長に選ばれた時天にも昇る気持ちだった。
今までどんなに頑張っても父はあたしを認めてくれなかったけど先輩たちはあたしを認めてくれた。
努力は報われるんだとわずかに希望がみえた。
もっと頑張ろう。そうすればきっと父もあたしの頑張りを認めてくれると努力をしていた矢先に父に言われた。
『バスケットにのめりこむのがいいが、並行して就職先を探しておけよ』と。
あたしは焦った。このままでは高校卒業後、路頭に迷う。
嫌なことは続くものだ。
『中村先輩より深山先輩が部長の方がよかったよね』
と後輩たちが噂しているのを知ってしまった。
部員全員をまとめるのは大変だった。
自分なりに一生懸命やっていたつもりだ。
それなのに……。
『もっとちゃんとやろうよ』
あの日、咲綾に言われた瞬間頭の中で何かがプツンっと切れた気がした。
どいつもこいつも全員、ふざけんな。
前々から咲綾のことをウザいと思っていた。
バスケのことだけを考えていられる咲綾が妬ましかった。
練習試合の度に両親が応援にきて、可愛いお弁当をつくってもらえて、真新しいシューズを買ってもらえる咲綾が妬ましくて仕方がなかった。
あたしにないものを咲綾は全部持っている気がした。
だから、奪ってやることにした。
咲綾の一番大切なバスケを。二度とバスケができないようにしてやる。
部活から追い出してやる――。



