イジメ返し―連鎖する復讐―


しばらくしてから恐る恐る部室に入ると、3年は誰もいなかった。

ホッと胸をなでおろして着替えると学校を後にする。

ノエルはどうして「死ね」なんて言ったんだろう。

怒りから出た言葉で本心ではないと分かっていても面と向かって「死ね」と言われるのは正直応えた。

ただみんなと一緒に楽しみながらも切磋琢磨して上を目指したいだけなのに。

「ハァ……」

バスケはチーム競技だし仲間との関係性はとても重要だ。

ノエルは口も強いし性格もキツイ。

常にスクールカーストのトップにいてクラスの女子から恐れられている存在でもある。

今日ほどでなくてもノエルと部活のことで口喧嘩になったことは何度かある。

時に理不尽なことを言われてもあたしはそのたびに折れてノエルに謝った。

部活を円滑に回すためには多少の我慢は仕方のないこと。

正直、腑に落ちないけど明日ノエルに謝ろう。

そうすればきっと、ノエルは許してくれる。

そしてまた、みんなでプレーができる。

この時のあたしは事の重大さにまだ気付いていなかった。