イジメ返し―連鎖する復讐―

「ノエルは……菅田と一緒だ。イジメられた人間がどんなに傷付くのか知らないだろう！？」

突然大声を上げた祐ちゃんにあたしは思わず固まった。

怒りで顔を真っ赤に染めた祐ちゃんの目から大粒の涙が溢れる。

肩を震わせ呼吸を荒くしながら祐ちゃんは必死に涙を拭った。

「イジメられた人間は……心も体もボロボロにされて毎日何をされるんだろうっていう恐怖に怯えて過ごさなくちゃいけないんだよ。イジメは……たった３文字で言い表してはいけない卑劣な行為なんだ。人をイジメて傷付ける人間は悪魔だ……。僕は菅田を……ノエルを……そんな最低な行為をする人間のことを絶対に許せない！！」

「祐ちゃん！！待って！！！」

祐ちゃんが駆け出していく。

でも、あたしは祐ちゃんを引き止めようと伸ばした手を引っ込めた。

あんな動画を観られて今さら言い訳をしたところで火に油を注ぐだけだ。

だったらほとぼりが冷めるまで少し時間を置いた方がいいかもしれない。

「咲綾の奴……。絶対に許さない……」

祐ちゃんにあんな動画を見せるなんて……。

あたしはニヤニヤ笑う咲綾を頭に思い浮かべるとギリギリと奥歯を噛みしめた。