イジメ返し―連鎖する復讐―

先生が神様と言っている人間が誰かは分からない。

けれど、あたしの家に先生が来るように仕向けた人間がいるのは確かだ。

……まさか、咲綾？

バスケ部だけに事件が起こるなんてこんな偶然あるんだろうか。

それに、カフェでのあの咲綾の態度……。

一時は死にそうな目をしていたはずの人間が、エマと一緒にいるようになってから生き生きとした表情を浮かべるようになった。

イジメにあい絶望していた人間とは思えないぐらいの変貌だった。

エマに何かそそのかされていたんじゃ。

そう考えないと辻妻が合わない。

だとしたら、全てアイツらが仕組んだ罠……？

あたしが咲綾をイジメていた仕返し……イジメ返しをされたってこと？

「瑠偉を殺してから俺もあとを追うよ」

「やめて……お願いやめて！！」

先生が突進してくる。

必死に腕を振り上げたものの、先生が懐に入り込んできた途端腹部に引き裂かれたような痛みが走った。

燃え上がるような激しい痛みに顔を歪めて膝をつく。

腹部からはものすごい勢いで血が溢れ出し足元に血だまりを作っていく。