イジメ返し―連鎖する復讐―

『人を傷付けたからには自分も傷付けられる覚悟を持たないとね』

『因果応報ってこと。人にやった酷いことは周り回って自分に帰ってくるんだよ』

咲綾の言葉通りになってしまった。

あたしが今までしてきた言動のせいでおばあちゃんは死んでしまったのだ。

おばあちゃんが殺されたのはすべてあたしのせい。

あたしがおばあちゃんを殺したようなものだ。

「瑠偉、俺達は結ばれる運命だったんだよ。色々な障害はあったけど、それを乗り越えて二人の愛は永遠のものになる」

先生があたしの隣に座り込み頭を撫でつけた。

鼻はもうとっくに麻痺していて匂いを感じない。

全身おう吐物と排泄物で汚れているあたしを先生は躊躇うことなく抱きしめる。

先生は完璧に壊れてしまっていた。

「昨日の夜、隣の県の河川敷で寝ていた俺に神様がプレゼントをくれたんだ。ここまでくる電車賃と瑠偉の家の住所が書かれた紙がそばにおかれてた。それに……」

そう言うと先生は二つ折りのサバイバルナイフを開いた。

遠くの方でパトカーの音がしてハッと顔を持ち上げる。

「二人で死のう、瑠偉」

先生はそう言うとあたしの首筋にナイフを押し当てた。

「苦しまないように一発でやるよ。大丈夫、天国で幸せになろう」

先生の言葉と同時にあたしは先生の肩を思いっきり押した。

まさかのあたしの行動に先生の手からナイフが転がった。