イジメ返し―連鎖する復讐―

「瑠偉、やっぱりお前は最高だよ」

脱ぎ散らからされた制服に袖を通しながらあたしは鼻をすすった。

ナイフで脅され無理矢理された行為に愛なんて感じるはずもなく、心も体もボロボロにされた。

ここまでの屈辱は初めてだった。

耐えようとしても自然と頬に涙が伝う。

どうしてこんな男と関係を持ってしまったんだろう。

でも、それを決めたのはあたし自身だ。誰かに強要されたわけでもなく、あたしは先生に妻子がいることを知っていてアプローチをした。

あたしはずっと奪われる側の人間だった。

血の繋がりのある父も母も、あたしは赤の他人にあっさりと奪われていった。

人は奪われる側と、奪う側の人間に別れる。

だったら、あたしはいつだって奪う側の人間でありたい。

だから、彼女持ちや妻子のある男にちょっかいを出してきた。

相手のいる人間ならば飽きたらすぐに捨てられるしメリットも大きかった。

顧問である折原先生と深い仲になってからは何かと便利だった。

3年になってすぐ、先生は練習を人一倍頑張る咲綾をレギュラーにすることを考えていたようだった。

『咲綾は瑠偉ほどじゃないにせよ、バスケのセンスがある』

先生が咲綾を褒めた時、あたしは心底イラついた。

だから、『咲綾じゃだめ。真子にして。じゃなかったら瑠偉はセンセと別れるよぉ?』そう言って先生を脅した。

先生はあたしにとってただの駒。

部活を楽しく円満に過ごすために折原先生を利用してきただけ。

ただそれだけだったはずなのに――。

後悔の念ばかりが押し寄せて自分自身の首を絞める。