イジメ返し―連鎖する復讐―

先生は靴を乱暴に脱ぎ捨てるとずかずかと家の中に上がり込みいつもおばあちゃんが座っている座布団にドカッと腰を下ろした。

「コーヒーが飲みたい。今すぐ出せ。腹も減ったな。何か食べ物はあるか?」

「コーヒーはないよぉ。うち、飲む人いないから」

「チッ、使えないやつだなぁお前は」

イライラしたようにトントンッと指で一定のリズムを刻みながら叩く先生。

……これが先生の本性だ。

あたしと付き合っている間は良い顔しか見せなかったけど、こうやって先生は奥さんに理不尽な苛立ちをぶつけていたんだろう。

「そりゃ離婚されるわ……」

「なんか言ったか?」

「あ、ううん。コーヒーが飲みたいなら瑠偉、買ってこようかぁ?」

「ないなら何でもいい。早くしろ。俺は喉が渇いてるんだ」

「……うん。わかったぁ」

今すぐ家から出ていけ、このくそ野郎。

喉元まで出かかった言葉をぐっと飲みこむと、あたしは冷蔵庫から取り出したペットボトルを先生の前までもっていった。