「ふぅ……。終わった」

動き回って汗をかいたせいで喉がカラカラだ。

練習が終わり体育館の隅に置いておいたスクイズボトルの方へ歩みを進める。

そのときふと違和感を覚えた。

何本か置いてあるボトルから離れた場所に横向きになって転がっている何かがある。

「え……」

近付いてみると、それはあたしのボトルだった。

「なんで……？」

まるで蹴り飛ばされたかのように遠くにあったボトル。

誰かが間違って蹴飛ばしてそのままにしたんだろうか。

それとも故意にあたしのボトルを……。

いや、そんなはずはない。

バスケ部にそんな陰湿な人間はいない。

思い直してボトルを拾い上げてその場でスポーツドリンクを喉を鳴らして飲む。

ようやく喉の渇きが潤った。

口元についた水滴を首にかけたタオルで拭いながら、３年のいる方に視線を向けた。

そのとき、輪のように床に座った３年全員があたしに視線を向けていた。

「え？」

思わず声を漏らすと全員が一斉に前に向き直ってクスクスと笑う。

「今のマヌケ顔みた？マジウケんだけど」

海荷の背中をバシッと叩いてゲラゲラ笑うノエル。

「だよね！！」

と、得意げな海荷。

「もぅ、やめなよぉ」

その隣で楽しそうに笑う瑠偉。

その３人に合わせるようにクスクス笑う美香と真子。

顔が強張る。どうしてみんな笑ってるの……？

疎外感を感じて弾かれたように５人の元へ歩み寄る。