イジメ返し―連鎖する復讐―


すると、教室の中からクラスメイト達の騒ぎ声がした。

「やっべー!これうちの学校の部室じゃん」

「これ、瑠偉ちゃんの下着姿だって」

「マジ!?見せて。つーか、送ってよ!!」

男子たちがスマホを片手にわいわい騒いでいる。

「な、なに。何なの?」

ノエルがいぶかしげな表情を浮かべる。

「先輩たちの画像、SNSの投稿が削除されたあとも保存されてネットの掲示板に貼られているんです。もう高校名と部活名まで晒されています。先輩たちの名前が特定されるのも時間の問題です」

「嘘……。やだっ。そんなのいやだよ……」

瑠偉が顔を手で覆って泣き始める。

「モザイクで加工されてますけど、こんなのを取るぐらい簡単にできます。そうすれば先輩たちの顔がネットで晒されてもおかしくないです」

そうなの……?モザイクを取ることなんてできるの……?

この中で一番動揺しているのは自分のような気がした。

頭が真っ白になる。

まずい。そんなことまで考えていなかった。

ただ怒りに任せて投稿しただけ。ただフォロワーを増やしたかっただけ。

ただ、それだけのつもりだったのに……。

「ていうか、さっきから何黙ってんのよ!!アンタが投稿したんじゃないの!?」

「ちがっ……」

「だったらなんでそんなに汗かいてんのよ!!咲綾のバッシュだってアンタが盗むって言ってたくせに人のせいにして……!!昨日あたし達にあれこれ言われた逆恨み!?それであんな投稿したんでしょ!?」

我慢ならないというようにノエルがあたしのYシャツの襟元を掴む。

「ホント、最低……っ。もう顔も見たくない……!」

瑠偉が顔を真っ赤にしながら吐き捨てるように言った。