イジメ返し―連鎖する復讐―

「アンタが盗むって言ったんでしょ!?」

「それはそうだけど……」

「だったら自分で何とかしろよ。もしかして今になって怖気づいたんじゃないでしょうね?」

「違うよ!」

「だったら、早く売れよ」

「ちょっとノエル~。言い過ぎだよぉ。海荷が可哀想」

そう言いながらも瑠偉の顔は楽しそう。

腹の中ではノエルに罵られているあたしを笑っているに違いない。

「あたし、用があるから先帰るね」

急いで着替えて逃げるように部室の扉に手をかけると、

「使えないやつ」

とノエルがあたしの背中に向かって呟いた。

「じゃあ、バイバイ」

背中を向けたまま、ノエルの言葉が聞こえなかった振りをして部室を後にする。

扉を閉めると、中からノエルと瑠偉の楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

どうせあたしの悪口を言って盛り上がっているに違いない。

ここまで必死に我慢してきたのに。

それなのに……――。