「最初は誰にしますか?」

イジメ返しをしようと考えている4人の顔がちらつく。

ノエル、瑠偉、海荷、折原先生。

エマがどういうイジメ返しをしようと考えているのかは分からない。

だったらまずは……。

「海荷にする」

「海荷先輩ですね。分かりました」

「どうやってイジメ返しするのかもう決まってるの?」

「海荷先輩のことは下調べ済みです。先輩は、中学生の時にイジメにあっています」

「え。海荷が……?」

驚いて言葉に詰まる。

確かに海荷はいつだって周りの目を気にしていたし、ノエルの機嫌を損ねないような言動をとってきた。

でも、まさかイジメられた経験があったなんて……。

その苦しみを知っているのにどうして同じことを繰り返すの……?

グッと拳をきつく握り締める。

「どうやら容姿もガラリと変えて高校デビューしたみたいですね。イジメを受けてその苦しみを知ったはずなのに信じられませんね」

「うん……」

「海荷先輩へのイジメ返し、明日から始めましょう」

「そうだね。絶対に……成功させる」

決意を込めたあたしの言葉にエマは力強く頷いた。