「私、レイのおかげですごい幸せなんだぁ……」
『……そっか』
「だから……ね。私、レイの事……だいすきだよ……」
『……』
奈月の無邪気な言葉に、ついに返事もできなくなる。
奈月は言うだけ言って眠ってしまって、俺は小さく呟いた。
『ありがとう……か』
そして、ふ、と笑ってしまう。
笑えるな。自分が利用されているとも知らずに。
それから俺はベッドから腰を上げて、床に座る。
顔を上げてみると、照明が煌々と光っていて、あまりの眩しさに目を細めた。
電気を消すと、奈月の頬にまつげの長い影が落ちた。
……いいよ。奈月は何も知らなくて。
その無邪気な笑顔を俺にいつまでも向けていれば。
……その笑顔を見る事で、俺の心臓が鈍く痛み出すことなんて。
知らないふりだ。


