死にたがりな君と、恋をはじめる

呆れたような笑みの誠おばさんにふ、と笑みを漏らし、奈月の部屋へ戻ろうとする。










「……これだけは言っておくけど」












後ろから声をかけられて、ゆっくりと振り返った。








「今は君の事目をつぶってあげる。実際奈月ちゃんは君のおかげで明るくなったといっても過言ではないから。それは本当に感謝しているんだ」










そういう誠おばさんの表情は曇りがなくて、嘘偽りがないということが伝わってきた。











それでも次の瞬間、その視線はさっと冷たく射るようになる。















「……でも、それでも。奈月ちゃんに危害を加えようものなら、私は君を許さないから」






『……』












俺は軽く笑ってかわした。









はいはい。そんなこと、言われなくてもわかってますよ。











おばさんが奈月の事が大好き人間だってことなんて。とっくに。













軽く笑いつつ階段を上る。








数段上って、それから、ふと振り返る。














『そうだ。言いたいことあるんだけど』








「何?」















きょとんと首を傾げる誠おばさんに、俺はふっと口元だけで笑った。














『俺にはレイっていう立派な名前があるから。次俺の事を呼ぶときはそれでよろしく』












「……っあはは。りょーかい」













俺の言葉に誠おばさんは少しの間ポカンと口を開けて、それからこらえきれないように吹き出した。














その返事を聞いて俺は満足し、奈月の部屋に戻った。