その唇が薄く開かれて、俺は緊張した面持ちで次の言葉を待つ。
「……君は奈月を利用しているわけじゃないって事?」
『……ッ』
ささやき声がどすっとストレートに心臓に伝わって、俺はつい目を見開いた。
あまりの動揺に目が揺れたのが、自分でもわかった。
な、ん……で。そんな、こと……。
急にそんなこと言い出すなんて……そんなことを疑問に思うなんて。
どう考えても、おかしい。
そう気が付いて、俺は誠おばさんを見つめ返した。
それよりも、……やばい。
一瞬、ほんの一瞬表情の管理が、できなくて。
これじゃあ認めているようなものじゃないか。
幽霊の身体にも関わらず、背筋に冷たいものが流れたかのような感覚が走った。
誠おばさんの様子を伺うと、俺とは違って落ち着いた表情で、俺は少しの恐怖を覚える。
動揺を見せたのは一秒にも満たないわずかな時間だったけど、誠おばさんはフッと微笑んだ。
「やっぱり……そうだったんだね」
納得したように頷かれて、俺は慌てて笑顔を取り繕った。
『あはは。やだな、誠さんは。利用って何の事?』
まだ……間に合う?
祈るような気持ちで誠おばさんを見つめるけど、その瞳は揺らがなくて、俺はハッと息を吐いた。
……一体、どういうことだよ。
こいつはなんでそんな事知ってるんだ?
……あぁ。面倒臭い。


