そこも、幼い頃に父親に折られたことのある場所だった。


宿題をしようと部屋に向かう途中で引き止められ、迷惑そうな顔をしただけで足首をへし折られたのだ。


もちろん、俺が骨折したって病院には連れて行ってもらえない。


父親が拾ってきた木片を骨折した箇所に当てて、包帯でグルグルに巻いておくのだ。


それだけでくっついた骨はいびつな形をしているのが、表からでもわかった。


「べ、勉強をしないと」


震える声で言うと、父親は疑わしそうな表情を俺へ向けた。


「お前、最近なにしてる」


「な、なにも……」


答えるやいやな、今度は腹を蹴られた。


ほとんどなにも食べていないのに、胃がギュッと締め上げられて透明な胃液を吐いた。


「嘘つけ! お前見てたらなにかよくないことをやってるって、すぐにわかるんだ!」


父親の顔が真っ赤に染まっていく。


まるで赤鬼みたいだ。


咄嗟に殺されるという恐怖がわきあがってきた。


父親の目は俺を見ていない。


父親の目に映っている俺は、ただの獲物だ。


これから狩って、そして食べられる。